介護職は、基本的に体力が必要な業務が多くあります。「要介護4」以上の要介護者の介抱をするなら、食事、排泄、入浴、歩行や移動の介抱など、介護をする側にも相当な体力が必要になるのです。日常生活にほとんど支障が出ない「要介護1」の要介護者と主に接する就労先を選んだとしても、やはり施設の掃除や食事の配膳、要介護者の姿勢を保持することを支援するなど、基礎的な体力は必要になります。そのため肉体労働系の異業種から転職するのであれば問題なく仕事ができるでしょう。しかしデスクワークが多い異業種からの転職の場合は体力をつける必要があります。
体力をつける際は筋肉トレーニングなどの無酸素運動だけをイメージするのは間違いです。介護で必要になる体力は「持久力」なので、長めのウォーキングなどを生活に取り入れるだけでも仕事のしやすさは大きく変わるでしょう。急に筋肉をつけようと運動強度が高い無酸素運動をすると、逆に関節などを痛めてしまう危険性があるので注意が必要です。
異業種から介護職に転職する際の注意点は他にもあります。「相手の今の調子」を聞くことです。要介護者は機嫌や体調が良くても、一時間でそれらのバイタルが激変することも決して少なくありません。介抱する前に意思疎通が可能か要介護者なら、「今の調子」をしっかりと聞くことを心がけましょう。でなければ、お互いに悪い気分になって関係性を損ねてしまう危険性があります。意志疎通が難しい要介護者なら「いつもと違う仕草などをしてはいないか」などを確認します。少しでも違和感を覚えたら上司や同僚に相談する事も重要です。
接客業など人と接する事が多い仕事でも「今日の調子はいかがですか」など語りかけるケースは多くありません。介護職に転職するのなら、相手の心身の状態を把握できるようなコミュニケーション能力を身につけようとする努力も必要です。